RCNP研究会
「ミューオンX線γ線分光 —非破壊分析、化学、原子核物理への新展開」
「ミューオン原子核捕獲反応による原子核関連研究の可能性」
2022年3月24-25日 大阪大学 核物理研究センター(RCNP) 本館6階 会議室
研究会概要
RCNP研究会「ミューオンX線γ線分光 —非破壊分析、化学、原子核物理への新展開」と「ミューオン原子核捕獲反応による原子核関連研究の可能性」を開催します。本研究会は、特に核物理研究センター(RCNP)のDCミューオンビームラインMuSICを中心に推進されてこれまでの研究成果を振り返り、また今後のMuSICで展開される新しい科学の展開を議論する会です。二つのテーマが異なる研究会の共同開催となります。
本研究会は研計委採択の研究会としてRCNPのサポートを得ています。
ミューオンX線γ線分光 —非破壊分析、化学、原子核物理への新展開
本研究会では、主にミューオン原子X線分光及びガンマ線分光の関連した原子核物理や核化学等の基礎科学研究と、その応用としての非破壊元素分析について議論します。
ミューオンと原子核から形成されるミューオン原子の準位構造は、ミューオンの波動関数が原子核のそれと大きく重なるため、原子核の有限サイズの影響を強く反映します。そのため、ミューオン原子X線分光は、原子核の基礎的な物理量である荷電半径や荷電分布を直接測定することができる数少ない手法の一つとなっています。また、ミューオンX線の分岐比は分子中の電子配置を反映することが知られており(化学効果)、分子状態の分析手法として用いることができます。
ミューオン原子X線は元素特有のエネルギーを持つため、ミューオン原子X線分光を用いた非破壊元素分析 (MIXE: Muon Induced X-ray Emission) の利用が近年急速に拡大しています。特にミューオン原子X線による元素分析は非破壊であるという特徴を持つため、他の分析法や各種試験に同じ試料を再利用できる点、貴重試料への適用かが可能である点で有用です。MIXEは、軽元素を含めたあらゆる元素を、多元素同時に、深さ選択的に、非破壊、非接触で分析することが可能であるため、その利用は、化学、宇宙地球科学、薬学、博物学、産業利用等、多分野にわたります。
本研究会では、ミューオン原子X線分光を利用するさまざまな分野の研究者が一堂に会し、分野を超えた研究の発展可能性を議論します。
ミューオン原子核捕獲反応による原子核関連研究の可能性
本研究会では、ミュオン原子核捕獲反応の原子核物理・応用分野への応用可能性について議論します。
負ミューオンが物質中で停止すると、一定の確率で負ミューオンが原子核に捕獲されるミューオン原子核捕獲反応が起こります。ミューオン捕獲反応は大きなエネルギー移行を伴う弱い相互作用による反応であるため、生成される原子核はGamow-Teller共鳴と密接な関係にあることが予想されています。しかしながら、その詳細なプロセスは現時点ではよくわかっていません。また、この反応を利用して原子核のクラスター状態・三体力・ニュートリノレス二重β崩壊・核分裂といった原子核物理の重要課題にアプローチする提案がなされています。さらに、近年著しい計算機デバイスの微細化に伴って、宇宙線ミューオン捕獲反応によって放出される荷電粒子がソフトエラーの主要因になりうることが指摘されています。ミュオン原子核捕獲反応の素過程の理解は、基礎科学の興味の対象にとどまらず応用上の重要性も持っているのです。
本研究会では、原子核関連分野の基礎・応用研究者が集まり、ミューオン原子核捕獲反応を利用した原子核研究の今後の展開について議論を行います。
会議情報
日時・場所
2022年3月24日 - 25日
大阪大学 核物理研究センター 本館6階会議室
オンライン(Zoom)を併用したハイブリッド形式で開催します。
参加登録(3/22まで)
参加登録ページからご登録をお願いします。
登録〆切:2022/3/22
オンライン(Zoom)で参加される方も登録してください。登録された方に後日接続情報をメールで連絡します。
講演予定者・プログラム
ブログラムのページで随時アップデートします。
世話人(五十音順)
安部 晋一郎(JAEA)
川瀬 頌一郎(九大総理工)
佐藤 朗(阪大理)
寺田 健太郎(阪大理)
友野 大(阪大RCNP)
新倉 潤(東大理)
二宮 和彦(阪大放射線科学基盤機構)
問い合わせ先
muon21@nex.phys.s.u-tokyo.ac.jp
COVID-19感染症対策について
本研究会は対面を基本として、オンラインを併用したハイブリッド形式で開催します。
現地参加される方は以下の点をご確認ください。
大阪大学吹田キャンパスに訪問前に、本人もしくは同居家族等に新型コロナウィルスの感染が疑われる方がいる場合は、訪問を中止してオンラインでの参加をお願いします。
新型コロナウイルス感染症かは不明だが何らかの体調不良があった場合(平熱より概ね1度以上の発熱、咳、咽頭痛、全身倦怠感、味覚・嗅覚異常、下痢等) は訪問を中止してください。
当日受付時の体温測定、会場でのマスク着用と手指消毒等の感染対策にご協力ください。
研究会開催期間中に発熱・咳等の体調不良になった場合、研究会世話人まで速やかにご連絡ください。
感染拡大の状況によっては現地開催を中止してオンラインのみの開催、または延期となる場合があります。